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税務blog法人化で手取り最大化!ベストなタイミングと役員報酬

税金のモヤモヤ、もう終わりにしませんか?

賃貸経営オーナーの皆様、毎年、確定申告の時期になると、こんな風に感じていませんか?

「頑張って収益を上げているはずなのに、税金を払うと結局、手元に残るお金が少ないな…」

「税理士さんに任せているから安心だけど、毎年税率が上がっていくのがどうも腑に落ちない…」

長年、多くのオーナー様とお話ししてきましたが、この「手元に残らないモヤモヤ感」こそが、個人事業主として賃貸経営を続ける中で直面する、最大の課題の一つです。

特に、事業が成長し、所得が増えれば増えるほど、そのモヤモヤは大きくなります。なぜなら、個人事業主にかかる所得税は、所得が増えるほど税率がどんどん上がる「累進課税」という仕組みだからです。最終的には最高45%、これに住民税の10%が加わり、約半分を税金として納めることになります。頑張りの半分が税金に消えてしまう、という感覚になるのも無理はありません。

しかし、ご安心ください。そのモヤモヤを一気に解消し、あなたの「手取りアップ」を実現するための具体的な道筋があります。それが、個人事業から「法人化」へ切り替えるという選択です。

この記事では、税金のプロである私が、法人化がなぜ節税と手取りアップに直結するのか、そして最も重要な「いつ・どう動くべきか」という最適なタイミングと具体的な手順について、賃貸経営オーナーの皆様に分かりやすく、詳しく解説していきます。

1. 手取りアップ・節税の基本:なぜ法人化があなたの悩みを解決するのか?

結論から申し上げましょう。あなたの「手取りが少ない」という悩みを解決するカギは、「所得税」と「法人税」の税率構造の違いを理解し、活用することにあります。

賃貸経営オーナーが直面する所得税の「高い壁」

前述の通り、個人の所得税は所得が高くなるほど税率が高くなる「累進課税」です。例えるなら、階段を駆け上がるように税率が重くなっていきます。

一方、法人に課される法人税などの税率は、個人の所得税率ほど急激に上がりません。特に中小法人の場合、一定の利益までは税率が抑えられており、個人の税率よりも低い水準に設定されています。

法人化が手取りアップに直結する理由:税率の「すみわけ」

法人化するとは、簡単に言えば、これまでのあなたの賃貸事業から生じる所得を、個人ではなく「法人」という別人格が受け取る形にすることです。

  1. 法人で利益を受け取る:法人化することで、賃貸収入が法人に入り、法人税が課されます。

  2. 個人は法人から「給与」をもらう:あなたは、法人から「役員報酬」という形で給与を受け取ります。この役員報酬には、給与所得控除が適用されます。

この「すみわけ」により、これまで所得税の最高税率に晒されていた大きな利益を、税率の上がり方が緩やかな法人税の世界へ移すことができるのです。結果として、法人全体と個人全体の税金と社会保険料の合計額を、個人事業主時代よりも大幅に抑えることが可能になり、「手取りアップ」が実現します。

2. 法人化のメリット・デメリットを徹底比較:本当にあなたに合う選択か?

法人化は魔法ではありません。大きなメリットがある一方で、必ずデメリットも存在します。メリットだけでなく、デメリットも含めて正しく理解することが、成功への第一歩です。

法人化の「メリット」:税金だけでなく、事業の安心感も手に入る

節税効果の最大化

  • 所得分散による税率の最適化: 所得税の累進課税を避けるため、ご家族を役員にし、適正な役員報酬を支払うことで、所得を複数に分散できます。これにより、それぞれに低い税率が適用され、世帯全体での税負担を大幅に軽減できます。

  • 経費計上範囲の拡大: 生命保険の保険料や、自宅の一部を法人名義で借り上げる社宅家賃など、個人事業主では経費にしにくかったものが、法人では合理的な理由があれば経費として認められる範囲が広がります。

  • 欠損金の繰越期間の長期化: もし大規模修繕などで赤字(欠損金)が出た場合、個人事業主は3年間しかその赤字を翌年以降の黒字と相殺できませんでしたが、法人は10年間にわたって繰り越しが可能になります。将来的な税負担のヘッジになります。

信用力の向上

法人名義になることで、金融機関からの信用度が向上し、より有利な条件で融資を受けやすくなります。これは、次の物件取得や大規模な設備投資を考える賃貸経営オーナー様にとって、非常に重要なメリットです。

見過ごせない法人化の「デメリット」:知っておくべき負担

設立・維持コスト

  • 法人を設立する際には、登記費用などで約20万~30万円のコストがかかります。

  • 最も注意が必要なのは、赤字でもかかる「法人住民税の均等割」です。事業が赤字でも、最低年間約7万円(自治体により異なる)を支払う義務があります。

事務負担の増加

  • 法人の会計処理は、個人事業主の確定申告に比べて記帳ルールが厳格になります。専門的な知識が必要になるため、税理士への依頼が必須となるケースがほとんどです。

社会保険への加入義務

  • 原則として、社長一人であっても、法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられます。保険料の約半分は法人が負担しますが、残りの半分は個人(役員報酬)から引かれます。国民健康保険や国民年金のみの加入だった個人事業主時代と比べ、社会保険料の負担は増加することが多いです。

3. 個人事業主が法人成りすべき「最適なタイミング」を診断する

「法人化のメリットは分かったけど、結局、いつ動くべきか?」これがオーナー様が最も知りたいポイントでしょう。最適なタイミングを逃すと、節税メリットを最大限に享受できません。

最重要基準は「所得」:損益分岐点を知る

法人化を検討すべき最も重要な判断基準は、あなたの所得(売上から経費を引いた利益)の金額です。

一般的に、個人の所得税率と法人の実効税率(法人税、法人事業税、法人住民税を合計した実質的な税率)が逆転する「損益分岐点」が、法人化の最適なタイミングの目安となります。

具体的なシミュレーションの結果、賃貸経営オーナー様の場合、年間の所得が800万円を超えたあたりから、法人化による節税メリットが出始める可能性が非常に高くなります。

なぜこの所得が目安なのか?

この所得水準を超えると、個人の所得税・住民税の合計税率が33%〜43%と高くなり、法人の実効税率(約23%〜34%)を上回るためです。あなたの所得がこのラインに近づいたら、「待ったなし」で具体的なシミュレーションを始めるべきです。

事例:所得800万円のオーナーAさんの場合 所得800万円の個人事業主が法人化し、役員報酬を最適化することで、トータルで年間約50万円〜100万円程度の税負担が軽減される試算が多くあります。これは、毎年のキャッシュフローに大きな影響を与えます。

所得以外の「事業規模・形態基準」:将来を見据えた判断

所得が目安に満たなくても、以下に当てはまる場合は法人化を検討する価値があります。

  • 事業拡大の予定がある:今後、物件の数を増やしたり、大規模なリフォームを予定しているなど、多額の融資を受ける見込みがある場合、法人名義の方が金融機関からの評価が高くなります。

  • 消費税基準の活用: 個人事業主として売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。しかし、法人を設立すると、原則として設立から2年間は消費税の納税が免除される「免税事業者」になれます。売上が1,000万円を超えそうなタイミングで法人化することで、この免税期間のメリットを最大限活用できます。

4. 手取りを最大化する!法人における役員報酬と節税対策

法人化が無事に完了したら、次は「役員報酬」をどう設定するか、そして法人ならではの「節税対策」をどう活用するかが、あなたの手取りを最大化する鍵となります。

役員報酬の「定期同額給与」ルールとは?

法人が役員に支払う報酬(給与)は、原則として「毎月同額」でなければ、法人の経費(損金)として認められません。これを「定期同額給与」と言います。

  • 変更できるタイミングが限定されている: 役員報酬は、事業年度開始日から3ヶ月以内など、変更できる時期が法律で厳しく定められています。一度決めたら、原則として次の事業年度が始まるまで変更はできません。

このルールがあるため、役員報酬は「変更できないもの」として、非常に慎重に、かつ戦略的に決定する必要があります。

最適な報酬額の決め方:税理士との二人三脚が必須

最適な役員報酬額とは、「法人が払う法人税」と、「個人(あなた)が払う所得税と社会保険料」の合計額が最も少なくなるように設定された金額です。

報酬を上げすぎると、個人の税金と社会保険料が高くなり、報酬を下げすぎると、法人が払う法人税が高くなります。この絶妙なバランスポイントを見つけ出すことが、手取り最大化の肝です。

再現ステップ:手取り最大化への3ステップ

  1. ステップ1:法人での必要な「内部留保額」を決定する まずは、今後5年間の修繕費、次の物件取得資金の頭金、緊急予備費など、法人に残しておくべき金額(内部留保)を明確にします。

  2. ステップ2:法人・個人合計の税金シミュレーションを行う 内部留保額を差し引いた残りの利益を、役員報酬としていくら支払うか、いくつかのパターンで試算します。このシミュレーションで、法人税と個人の所得税・社会保険料の合計額が最小になるポイントを見つけます。

  3. ステップ3:社会保険料の負担と生活設計を考慮し最終決定する 税金だけでなく、社会保険料の負担感や、あなた自身の生活費に必要な最低限の手取り額を考慮に入れ、総合的に最適な報酬額を決定します。

法人化で可能になる独自の節税対策

法人化したからこそできる、賢い節税手法も同時に導入しましょう。

  • 社宅制度の導入: あなたの自宅を法人名義で借り上げ、あなたに貸し出す「社宅」とすることで、家賃の一部を法人の経費にできます。もちろん、あなたは法人が定める規定に基づいた家賃を法人に支払いますが、市場価格より低く設定できるため、手取りから支出する住居費の負担を大きく減らせます。

  • 退職金制度の準備: 将来、あなたが引退する際に受け取る退職金を、現役時代から法人で計画的に準備することで、その積立金が法人の経費として認められます。退職金は税制上非常に優遇されているため、効果的な出口戦略になります。

5. まとめ:法人化の判断基準と次のアクション

法人化は、賃貸経営オーナーの皆様が「手取りアップ」と「税負担の最適化」という形で、次のステージに進むための最高の戦略です。しかし、最適なタイミングは人それぞれです。

「法人化すべきか」チェックリスト

以下の項目に当てはまる場合は、今すぐ専門家へ相談すべきです。

  • あなたの所得(売上から経費を引いた利益)が800万円を超えている、または近づいているか?

  • 今後3年以内に、物件の拡大や数千万円単位の融資の検討の予定があるか?

  • 法人化による事務負担増と社会保険料負担増を許容できるか?

結論:迷ったら「税理士にシミュレーション」を依頼する

法人化は「いつかやればいい」ものではなく、「最適なタイミング」があります。そのタイミングを逃し、不要な税金を払い続けることは、数百万単位の節税機会を失うことにもなりかねません。

法人化を検討することは、難しい手続きに感じるかもしれません。しかし、それはあなたの資産を最大限に守り、賃貸経営を安定させるための「守りの戦略」であり、あなたの手元に残るお金を最大化する「攻めの戦略」でもあります。

まずは、あなたの今の所得、物件数、そして将来の計画を基にした「法人化シミュレーション」を税理士に依頼すること。それが、あなたの手取りアップへの最初の、そして最も重要な一歩です。

未来のために、今すぐ行動を始めましょう。


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