はじめに:相続、なんとなく不安…を解消しませんか?
「うちはそんなに資産があるわけじゃないし、相続なんてまだ先の話でしょ」
「税理士さんに任せてるし、自分ではよくわからない…」
――もし、こんなふうに思っていたら要注意かもしれません。
実は、相続の準備を“なんとなく”で放っておくと、
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子ども同士が揉めてしまう
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想像以上の相続税がかかって慌てる
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せっかくの不動産を手放さなければいけない
といった事態が起きる可能性もあります。
そこで注目されているのが「戸建賃貸」です。
今回は、戸建賃貸がなぜ相続対策に有効なのか、節税効果から家族間のトラブル防止まで、徹底的にわかりやすく解説します。
戸建賃貸が相続対策で注目される理由
戸建賃貸は、アパートのように多戸数ではなく、一棟一戸の住宅を賃貸に出すスタイル。
この形態が、近年相続対策として注目されているのは以下の理由があります。
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土地活用がしやすい
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小規模から始められる(初期投資を抑えられる)
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相続後の分割がしやすい
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相続税評価額を圧縮できる
特に、「土地評価を下げて相続税対策になる」+「賃貸収入も確保できる」というダブル効果が魅力です。
戸建賃貸とは?メリット・適地とは
戸建賃貸とは
「戸建賃貸」とは、一戸建て住宅を新築または既存物件をリフォームし、それを第三者に貸し出す賃貸経営のスタイルです。
集合住宅と違い、1棟1世帯の独立性があるため、ファミリー層やペット世帯、音に敏感な入居者に人気があります。
共用部分がないため、管理面でも手間が少ないのが特徴です。
なぜ入居者に人気なのか?
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プライバシー性の高さ:隣室と接していないため、騒音トラブルが少ない
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専用駐車場や庭付き:子育て世帯・ペット世帯に好まれる
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“持ち家感覚”の生活:ローンを組めない層にとって魅力的な選択肢
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長期入居傾向が強い:家族単位で引っ越しが少ないため、安定した経営が可能
どんな人が住んでいるのか?
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小さな子どもがいるファミリー層
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転勤中の家族や単身赴任者
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高齢の夫婦世帯(バリアフリー志向)
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ペット飼育希望者
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持ち家をあきらめたが質の高い住環境を求める層
戸建賃貸に向いている土地
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駅徒歩10〜15分圏内の住宅街
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駐車スペースが取れる60坪以上の敷地
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アパートを建てるには規模が合わない中小宅地
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今は使っていない実家の敷地や遊休地
相続税節税①:土地・建物評価の圧縮とは?
相続税は、財産の「評価額」に応じて課税されます。
この評価額は、実勢価格(売却価格)よりも国の基準によって決められます。
貸家建付地としての評価減
賃貸物件が建っている土地は、「貸家建付地」として扱われ、
通常の自用地より15〜20%程度、評価が下がるのが一般的です。
たとえば、路線価5,000万円の土地が、貸家建付地扱いで4,000万円前後に圧縮されるケースもあります。
貸家の建物評価も減額
建物自体も、借家権が発生するため、30%程度の評価減が可能です。
つまり、評価額2,000万円の建物なら、1,400万円程度まで圧縮されます。
シミュレーション例
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土地:5,000万円 → 評価額 4,000万円
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建物:2,000万円 → 評価額 1,400万円
→ 合計:7,000万円 → 5,400万円に評価圧縮
これだけで相続税の課税額が大幅に減ることがわかります。
相続税節税②:小規模宅地等の特例を活用する
「小規模宅地等の特例」は、相続税の評価額をさらに圧縮できる強力な制度です。
戸建賃貸における特例の活用
賃貸用宅地として使用されていた土地は、一定の条件を満たせば、
200㎡まで最大50%の評価減が可能です(貸付事業用宅地)。
貸家建付地の評価減と併用することで、評価額が半分以下になることも。
適用条件の注意点
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相続開始直前まで賃貸されていた土地
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被相続人が「事業的規模」(目安:5棟10室)で賃貸していた
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相続人がその土地を取得後も継続して運用する予定であること
条件を満たすには、税理士や専門家との綿密な確認が不可欠です。
遺産分割で戸建賃貸が有利な理由
不動産の相続では、「分けにくい」という問題がつきものです。
アパート1棟を複数人で共有すると、将来の売却や運営方針で揉める可能性があります。
戸建なら「分けやすい」
戸建賃貸は、1棟ごとに分割相続が可能です。
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3棟あれば、子ども3人に1棟ずつ渡せる
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評価額に差がある場合も調整しやすい
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分割・売却・転用の柔軟性が高い
争族(そうぞく)を防ぐためにも、「物理的に分けやすい資産」は非常に大切です。
注意点・経営リスクまとめ
戸建賃貸は万能ではありません。以下のリスクや注意点も確認しておきましょう。
1棟空室で家賃ゼロのリスク
対策:好立地選定・ファミリー層ニーズの把握・長期入居設計
修繕費用の備えが必要
対策:修繕積立を月々確保・長期修繕計画を立てる
家族の相続後運営が不安
対策:管理会社を活用・相続人と共有・管理マニュアルの整備
将来の資産価値下落リスク
対策:人口動態・再開発情報を事前に確認・分割売却できる物件設計にする
実践ステップ&スケジュール
1.家族で相続の方向性を話し合う
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誰が、どの不動産を相続するか?
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売るのか?貸すのか?住むのか?
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相続税の納税資金は足りるか?
まずは「相続の方針」を明確にすることが第一歩です。
2.税理士と現状の資産評価・節税プランを確認
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所有している不動産の評価額を出してもらう
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節税効果を試算する
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特例の適用可能性や注意点を確認する
税理士や相続コンサルタントとの連携がカギです。
3.土地の活用方法を検討(戸建賃貸プラン作成)
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建築会社と相談し、収支シミュレーションを作る
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将来的な分割・売却も視野に入れて設計する
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建築だけでなく、管理・メンテナンス面も同時に計画する
4.建築・賃貸運用開始、収支履歴を記録
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管理会社に任せて、入居者募集と運営開始
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毎年の収支報告をまとめておく
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将来の相続に備え、家族にも情報を共有しておく
家族会議と専門家相談のススメ
相続は、「元気なうち」に話しておくことが何より大切です。
揉める前に話しておけば、「ありがとう」で済む相続になります。
そのためにも――
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税理士や司法書士、不動産専門家と早めに連携する
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家族会議で資産の引き継ぎ方を話す
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「残す側」と「受け取る側」が理解し合っておく
これが、愛のあるスムーズな相続の第一歩です。
おわりに:戸建賃貸は、“揉めない相続”と“資産活用”
戸建賃貸は、節税と賃貸収入、そして遺産分割の柔軟性を兼ね備えた
「攻め」と「守り」の両方が叶う相続対策の切り札です。
「うちはまだいいかな」と思っていても、相続はある日突然やってきます。
だからこそ、“今できる備え”として、
小さく始めてみませんか?