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不動産blog【築古×節税】耐用年数切れの文化住宅の購入で節税する方法

はじめに:築古木造の文化住宅に投資する人が増えている理由

最近、不動産投資の世界では「文化住宅」というワードが密かに注目されています。
文化住宅と聞くと、「ああ、昔ながらの木造アパートね?」とイメージが湧く方もいるかもしれません。
実はこの文化住宅、築年数が古い=価格が安いにもかかわらず、高利回りを狙いやすく、減価償却による節税にも強いという、意外な魅力を持っています。

「でも、そんな古い物件って、耐用年数を過ぎていたらもう減価償却できないんじゃないの?」

…そう思っている方、多いと思います。
実はそこに大きな勘違いがあるんです。

本記事では、文化住宅の特徴から、耐用年数切れでも減価償却ができる仕組みと節税の方法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
さらに、投資対象として文化住宅を選ぶ際の注意点や実例を交えて、実際に使える知識と戦略を盛り込みました。

副業として不動産投資に興味がある方、本業の所得税が高くて節税に悩んでいる方、税理士に任せきりで何も分からないというオーナーの方まで、ぜひ最後までお読みください。

文化住宅とは?木造の築古物件の特徴と収益性

■典型的な特徴とは?

文化住宅とは、昭和30〜50年代に建てられた木造アパートタイプの集合住宅です。
当時の住宅不足を背景に、都市部や郊外に数多く建設されました。

  • 木造軸組工法が主流で、簡素な構造

  • 1階建または2階建で、2〜4戸の小規模構成

  • 和室中心の3〜4畳半×2間+キッチンなどのシンプルな間取り

  • 風呂なし物件が多く、ユニットバスを後付けしたタイプも存在

  • 路地裏や準工業地域に多く、駅から徒歩10分圏外も多い

■文化住宅に住むのはどんな人?

「そんな古い物件、誰が住むの?」と思うかもしれませんが、以下のようなニーズは今も健在です:

  • 高齢者の単身世帯(年金生活者)

  • 外国人労働者や生活保護受給者

  • 学生や若手社会人など、家賃重視の層

行政とも連携しやすく、生活保護受給者の受け入れ先として需要が安定している地域もあります。

■収益性の魅力と参入のしやすさ

価格帯が安く、地方であれば土地込みで300万〜800万円程度の少ない資金で購入ができるため、初めて不動産投資をするという方でも参入しやすい物件のため、初心者のスタート物件としても人気です。

例:家賃5万円 × 2戸 = 月10万円 → 年間家賃収入120万円
購入価格600万円の場合、利回り20%の高収益物件となる可能性もあります。

木造住宅の法定耐用年数と「耐用年数切れ物件」の意味

■耐用年数とは?

「耐用年数」とは、税法上で定められた“資産を減価償却できる期間”のことです。
木造住宅の法定耐用年数は22年(国税庁規定)。
つまり、築22年を超えると、帳簿上はすでに価値が0になっている扱いになります。

■耐用年数切れでも使えるの?

→はい、使うことができます。

建物としてはまだまだ利用できる状態であれば、実際の運用はまったく問題ありません。
ただし、税務上の減価償却の扱いが変わるため、ここを正しく理解しておく必要があります。

減価償却の仕組みと、耐用年数切れ物件での節税

■減価償却とは?

建物などの資産は、購入した年に全額経費計上するのではなく、法定耐用年数に応じて毎年少しずつ経費として落とすのが「減価償却」です。

  • 土地は減価償却できない

  • 減価償却できるのは建物の取得価額のみ

  • 築年数によって「耐用年数」または「残存耐用年数」が決まる

■耐用年数切れでも償却できる!「簡便法(20%ルール)」とは?

国税庁の規定により、法定耐用年数を過ぎた中古建物には「簡便法」が使えます。

【計算式】
法定耐用年数 × 0.2(20%)= 新たな償却年数(小数点切捨)

木造住宅(法定22年)→ 22年 × 0.2 = 4.4年 → 4年

築30年以上の木造文化住宅でも、4年で建物価格を償却可能です!

■建物価格の評価割合を高める工夫

減価償却額を増やすためには、「建物価格」が大きい方が有利です。
以下のような対策で、建物割合を妥当な範囲で高めることが可能です:

①売買契約書に「建物価格」をしっかり明記してもらう

➁固定資産税評価証明書を利用し、評価額のバランスを確認

③不動産鑑定士による簡易評価を取得

④風呂・トイレ・キッチンなどリフォーム済設備を建物価格に含める

※あまりに土地に対して建物価格が高すぎると、税務署からの指摘リスクもあるため注意しましょう。

実例で解説:文化住宅を購入した場合の減価償却モデル

【前提条件】

  • 価格:500万円(建物300万円、土地200万円)

  • 構造:木造

  • 築年数:築30年(耐用年数切れ)

  • 償却年数:4年(簡便法適用)

【減価償却】

  • 年間償却額:300万円 ÷ 4年 = 75万円

  • 節税効果:75万円 × 40%(所得税+住民税)= 年間30万円の節税

  • 4年間合計:約120万円の節税効果

所得が高い方であればあるほど、この効果は顕著です。
節税と収益の両面で、非常にバランスの取れた投資戦略となります。

文化住宅を節税目的で買う際の落とし穴

ここまでお読みいただいた方には、文化住宅への投資が魅力的だと思っていただけたと思いますが、安易な節税目的だけで購入すると思わぬ落とし穴にはまることもあるので注意が必要です。

■デッドクロスに注意

償却期間が終わると、一気に経費が減り、課税所得が急上昇することがあります。
これが「デッドクロス」です。

  • 毎年の減価償却という“税のバリア”がなくなる

  • 黒字倒産にならないよう、キャッシュフロー管理が重要

■修繕費と空室リスク

築古である以上、以下のようなリスクは避けられません:

  • 屋根や外壁の老朽化

  • 水回りの故障や給湯器の交換

  • 賃料を下げないと入居が決まらない

「利回り○%」だけで飛びつかず、空室率や将来的な修繕も織り込んだシミュレーションをしましょう。

■節税目的“だけ”で買うと失敗する

不動産投資は、あくまで事業です。
「節税できるから買う」ではなく、「収益性があるうえで節税効果もある」ことが理想。

節税目的で文化住宅を活用するためのチェックリスト

①売買契約書に建物価格の記載があるか?

➁築年数・法定耐用年数を確認したか?

③税理士と事前に減価償却計算をシミュレーションしたか?

④収支計画をキャッシュフロー込みで精査したか?

⑤将来的な売却や活用の“出口戦略”を検討しているか?

まとめ:文化住宅は「節税できるが慎重な戦略が必要」

文化住宅は、表面的には古くて地味な物件ですが、
使い方次第では「節税+収益性」の両方を実現できる戦略的な投資物件です。

✅ 築古木造でも「簡便法」で減価償却できる
✅ 建物価格の設定次第で節税効果を大きくできる
✅ 少額からスタートでき、副業としても現実的

しかし、
⚠ 減価償却終了後の税負担増(デッドクロス)
⚠ 修繕費・空室などの築古リスク
⚠ 利回りや需要調査を怠ると赤字化のリスク

…といった落とし穴にも注意が必要です。

「税理士に任せてるから大丈夫」と思っていても、自分が理解していなければ損をすることも多々あります。
この記事をきっかけに、“わかって投資する”文化住宅活用の第一歩を踏み出してみてください。


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